株式会社プロジェクトスタジオQ主催 アニメCGコンテスト 「Award:Q/Project Studio Q Anime CG Award 2017」 にご応募いただき誠にありがとうございました。厳正なる審査の結果、各部門、下記の通り「グランプリ」「準グランプリ」「入選」が決定いたしました。
本コンテストがご応募いただいたクリエイターの方々のさらなる才能の飛躍、アニメCG業界の新たな可能性に繋がることを期待しています。

日本アニメ(ーター)見本市「 I can Friday by day! 」「 偶像戦域 」 より ©nihon animator mihonichi LLP.

審査員コメント

審査員 小林 浩康 (株式会社プロジェクトスタジオQ/株式会社カラー 取締役)

アニメーション部門に関しまして、テーマに対してのアイディアを感じる作品が多かった印象ですが、基本的な部分である、レイアウト(構図)とタイミングの気持ち良さにこだわってもらえると良くなったのではないかと思いました。

モデリング部門に関しまして、規定のデザイン画をモデルに起こす、というプロの作業と同じ工程をとらせてもらいましたが、それぞれ試行錯誤の感じられる中、レベルの高いものが多かったです。ちょっとしたこだわりの差が作品の差になった印象です。

高校生部門、個人的には正直応募がないのではないかと思っていましたが、少数ながらハイクオリティな作品の応募があって驚きました。

応募数がそこまで多くなかったので、また開催の際はチャンスですよ!

ゲスト審査員 松野 美茂 氏 (株式会社ドワンゴ 映像制作部 部長)

モデリングはアニメーションに比べてレベルは高いと思われますが、やや判定しずらいルールと素材かもしれません。

ゲスト審査員 篠原 たかこ 氏 (公益財団法人 画像情報教育振興協会 教育事業部 事業部長)

まず、応募作品にレベルの高い作品が多く含まれていたことに、応募者のこのコンテストに対する強い思いを感じました。モデリング部門は、手書きで描かれた設定からのモデリングと一枚絵としてのポージングという難しいお題にも関わらず、高校生・一般ともにしっかりと仕上げようという意気込みと重ねた努力が表れていました。アニメーション部門は、文章での自由度の高い設定でしたので、ゼロから作り上げる能力が問われ、それぞれに個性ある力のある作品が集まりました。

審査のなかで、プロから作者への貴重なアドバイスが多々ありましたので、ぜひ何らかの形でお返しできると良いと感じました。このコンテストへの応募をきっかけに、応募者の皆さんが成長されることを大変楽しみにしています。

ゲスト審査員 沼倉 有人 氏 (CGWORLD編集部 編集長)

アニメーション部門は、『sword action』と『NAMPA』の2作が群を抜いていたと思います。

モデリング部門(一般)は、メカとデフォルメ系キャラの双方ともにハイレベルの作品が多く感心しました。出来映えで審査するとどうしてもチームで応募された方々が有利になったのかもしれません。

モデリング部門(高校)は、応募点数が少ないのが残念でしたが、どちらの作品も高校生とは思えない高い技量(高いモチベーション)が存分に伝わってくる力作だったと思います。

全体としては、事前の個人的な予想ではプロの方からの応募が多くなるかと思ったのですが、学生さん、アマチュアと思しき方の作品が大半だったのが意外でした。また、いずれの作品からもカラーさん、そして「日本アニメ(ーター)見本市」の各作品に対する愛が感じられて、カラーさんのクリエイティブのマッシブさを改めて実感しました。

ゲスト審査員 松井 祐亮 氏 (株式会社カラー CGI監督)

今回選考されなかった人は、くじけずまたこういった機会はたくさんあるのでめげずに参加してほしいです。気力はもうプロに負けてないのでその「意気込みだけ」では無く「どうすれば良くなるかの研究」をしっかりやりましょう。そういう人が「勝つ人」だと思います。

審査員 鬼塚 大輔 (株式会社プロジェクトスタジオQ/株式会社カラー CGI監督)

モデリングについて、手書きの設定から辻褄を合わせつつ、正しい形を見つけるというプロでも難しい課題でした。正解を見つけられず苦労されたと思います。
モデリングとデザインの仕事は全く別の物ですので、参考資料を元に現存するものを沢山作ってみてください。

アニメーションについて、この手のアニメーションは3秒程で優劣がはっきりわかってしまいます。特にファーストカットのポーズ、タイミング、構図にこだわりが欲しかったです。また、短い尺のアニメーションを沢山作成してみてください。慣れるまでカメラを固定で練習すると良いかなと思います。

部門別受賞作品一覧

モデリング(高校生の部)

グランプリ

ICONIC FIELD

角木恵太

ICONIC FIELD

角木恵太

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制作意図

この作品は、ソードイルガのその左右非対称という特殊な形状をモデリングするものでしたが、一番格好良く見えるような各パーツのプロポーション、ポーズ、アングル、ライティングを目指しました。
具体的には、できるだけ設定に近づけ、且つ最も格好良いプロポーションにし、ポーズは左腕の流れと左脚、右脚への流れを意識し、また翼パーツ、武器を強調したものになっています。
又、望遠で下から見るアングルによって、飛翔している感じが出るようにし、レイアウトとしては、翼パーツ、武器パーツ、足パーツを結ぶ三角形のきれいなシルエットができるようにしました。
ライティングには翼パーツ、左腕、左脚を強調するような青いライト、剣型武器を強調するような赤のライトを使い、さらにCLIPSTUDIOPAINTによるの各パーツの主張の強弱、ブルーム、コントラストその他による調整を行いました。
ソードイルガの格好良さが伝われば良いなと思います。

審査員コメント

高校生でありながら、山下さんのデザインで応募された事がすごいなと思います。 設定と比べると、形のとれていない部分がありますが、読み取りずらく自分で補完しないといけない部分が多数ある難しい設定だったのですが良く作り切ったと思います。(鬼塚)

準グランプリ

少尉

臼井圭吾

少尉

臼井圭吾

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制作意図

少尉のメインステージは戦車内ということで内装も設計図から製作し、より迫力のある一枚絵にしたいという思いがあったからです。

審査員コメント

Blenderでここまでよく作ったと思います。(松野)

しっぽのメッシュが違うところが少し気になります。エッジの出し方は結構好きです。(松井)

モデリング(一般の部)

グランプリ

SWORD IRGA

楠戸亮介

SWORD IRGA

楠戸亮介

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制作意図

俺が一番メカを上手く作れるんだ。

審査員コメント

レイアウトが上手く、こだわりを感じられました。1人でここまで作りこめていることで、メカが好きなのも伝わります。(小林)

正確に設定を拾っているわけではないのですが、見せ方とパーツの解釈のしかたが上手だなと思いました。 逆光にしたのもよかったと思います。(鬼塚)

立ちポーズがかっこいいです。(松井)

i can friday by day! in the studio

岡崎滉平,福島啓介,山脇春奈

i can friday by day! in the studio

岡崎滉平,福島啓介,山脇春奈

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制作意図

この作品の世界観を表現するために複数のキャラクターたちを登場させ画面を構成し、1枚絵としてはスタジオで撮影をしている感じにしました。

審査員コメント

本編や設定にはないこの画にこだわって、このレイアウトにまとめたところに力を感じます。とりわけ少女Bのモデルの細かいフォルムが巧みでした。(小林)

準グランプリ

アーチイルガ

窪田虎次朗,鶴岡和人,ルカチャートプムパット

アーチイルガ

窪田虎次朗,鶴岡和人,ルカチャートプムパット

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制作意図

シルエットがかっこよく見えるようにポージングを試行錯誤しました。

審査員コメント

モデルを部位ごとに分業しての形状の探求、作り込みにこだわりを感じました。メッシュの全体のバランスをとっていけると、さらに完成度が高まると思いました。(小林)

入選

決戦の夜明け

松本優希

決戦の夜明け

松本優希

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制作意図

最初に、このアニメがもし前編後編に分けてDVD化して売られたら、後編のパッケージはこんな感じなんだろうなあというのを最初にイメージして構図を作りました。実際のDVDパッケージ化をよりイメージしやすいように左上に公式のタイトルロゴを付け、より商業ベースに制作しました。

この画像を見て思って欲しいことは、始めてこの画像を見ると少尉が画面右上のグレネードを見て何か思い耽ているだけに感じますが、最後に少尉が男子生徒に捨て身の特効でグレネードをぶつけたシーンの後に再度この画像を見て、「この画像はラストシーンの前で、この時に何か考えとか覚悟とか決めたんだろうなあ」というように思ってもらえればと思いながら作りました。

審査員コメント

設定に比べて、ポーズに硬さが残っているので、重心の崩し方や服の皺のニュアンスをもっと拾えるとよかったなと思います。(鬼塚)

少女A (I can Friday by day!)

伊藤 颯哉

少女A (I can Friday by day!)

伊藤 颯哉

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制作意図

1番は、CGを学び始めた頃から今までの2年間の自分の成長を確かめるためです。そしてなによりアニメCGが好きだからです。これからのアニメCGの進化や発展に期待し、自分自身がアニメーションにおける3DCGの可能性を皆さんに示すことが出来れば良いなと思っています。

審査員コメント

立ちポーズの見せ方に工夫が欲しかったです。 女の子をかわいくみせるアングルや表情ポーズなどを写真集などを見て研究してみてください。(鬼塚)

sword irga

瓜田匠海ほか3名

sword irga

瓜田匠海ほか3名

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制作意図

今回の作品で伝えたいことは諦めないことです。 作品を製作中に様々なトラブルが起こり一時は応募をやめるか迷いましたが皆でアイデアを出し合いトラブルを乗り越えられました。

審査員コメント

チーム作品として、よくここまでまとめたなと思います。(松井)

I can Friday By day.

後藤にいな

I can Friday By day.

後藤にいな

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制作意図

スポーティな見た目とは裏腹に、恋にも一途な主人公のかわいさです。

審査員コメント

形は良くとれているのですが、ポーズにこだわりが欲しかったです。 また指や色などの細部に気を使えるようになると、すごく良くなると思います。(鬼塚)

ソードイルガ

関歩夢

ソードイルガ

関歩夢

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制作意図

設定画のソードイルガはパターンがいくつかあるので、折り合いをつけつつ設定画のシルエットやパーツのかっこよさが伝わるようモデリングしました。

審査員コメント

2枚目のレイアウトの方がうまくいってる感じがしました。 お題の難易度が高いですが、設定の形をもうちょっと拾ってほしかったです。(鬼塚)

アニメーション(一般の部)

グランプリ

該当者なし

準グランプリ

sowrd action

ホン・ハンピョ

sowrd action

ホン・ハンピョ

制作意図

奇襲攻撃を上手に対処する女性の姿

審査員コメント

準GPの2作品は、今回の作品の中では力が抜きんでていたと思います。 気持ちの良いタイミングでしたが、1枚1枚のポーズをもう少し詰めてほしかったです。 1カット目、2カット目、3カット目のつなぎを含めた構成をもう少しうまく組み立てられればもっと良くなると思いました。(鬼塚)

NAMPA

小川里奈

NAMPA

小川里奈

制作意図

今回の作品を制作するに当たり、男女の戦いについて日常的に考えてみました。日常にある戦いと言えば喧嘩です。男女の喧嘩と言えばいろいろありますが、大きなことで言うと、浮気が発覚した時の喧嘩ではないかという考えに至り、そのテーマをもとに制作しました。女性を勝たせるということだったので、浮気をしたのは男性にし、女性はそんな浮気男を成敗するべく真剣勝負(物理)を仕掛けるストーリーにしてみました。
女性が怒ると怖い。浮気、ダメ、絶対。

審査員コメント

作品にアーティストとしての伸びしろを感じます。動作の間の取り方などに気を使っていくとさらにぐっと良くなると思います。(小林)

今回の作品の中では群をぬいていたように感じます。(沼倉)

入選

男女アクション

酒田克己

男女アクション

酒田克己

制作意図

この作品で最も伝えたいことは、一般的な客観視として男性が力強く大胆な動き、女性が繊細で滑らかな動きをしているものであるということです。しかし、多くのゲームやアニメの作品内では身軽で滑らかに動く男性であったり、がっちりとして筋肉質な女性であったり、キャラクターの個性や体格はその場の環境や時代背景や企画時のテーマによって異なります。そのため、今回は私自身でそれぞれの性別に個性を与えて制作しました。男性はあまり大剣を使いなれてないスキが目立つような動き、かつ、必死に振り回して攻撃しようとするキャラクターとしています。逆に女性は少し慣れた手つきで新体操のように滑らかに動くが、男性の一撃ではよろけてしまうようなキャラクターとして制作しております。

審査員コメント

剣の重さをちゃんと感じます。
最後の女性の決めポーズにもう少し工夫があるとよかったと思います。(松井)